「京都三大祭り」の1つと言われる京都祇園祭。
そこでのお稚児さんの選出ニュースが毎年報道されていますが、今年はどこのお偉い様のお坊ちゃんかな?とついつい見る視点が違ってしまう人は多いのではないでしょうか?
すごい事だろうけど、実際に選ばれたらどれだけ大変なのか・・・。想像が付きませんね。今回はそのお稚児さんについてまとめてみました。
京都祇園祭のお稚児さんって莫大な費用とは?
まずは、そのお稚児さんを選出するお祭り『京都祇園祭り』について説明します。
祇園祭は、京都市東山区の八坂神社の祭礼で、9世紀より続く伝統的なお祭りです。京都にとって夏の風物詩の1つであり、7月1日から1ヶ月間にわたって行われます。
昔859年~877年の京の都に疫病が流行し、それは祇園牛頭天王の祟(たた)りのせいだと考えられました。そこで平安京の広大な庭園である神泉苑に諸国の数である66本の鉾を立て、祇園社から神輿を送り出して疫病退散の祈願をしたのが『祇園祭』の始まりと言われています。
お稚児さんの役目
この伝統的なお祭りで一体お稚児さんは何をするのか?簡単に言えば、『神様の代わりに神様となる』事です。
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お稚児と鉾町との養子縁組の儀を固める儀式があれば、舞を舞ったり、「注連縄(しめなわ)切り」の儀式をしたり・・・。特に「注連縄切り」は主要任務であり、祇園祭の巡行の先頭を走る『長刀鉾』に乗り込み、注連縄を切る事で神界と人間の境目(結界)を一刀両断、山鉾が進める道を作る!という大役を果たさなければいけません。これが無いと、祭りが始まらないのです。
何より大変なのは、神様に任命されている期間は精神潔斎の生活を送らなければいけない事。
女性が作った料理を食べる、地面に足を付ける事は絶対にNG!移動も大人が抱っこして、神様を下に置かないように気を付けます。八坂神社の紋である「きゅうり」も食べてはいけません。
身の回りのお世話も男性のみで行うそう。これはママ大好きっ子には難しい役目ですね。お稚児に選ばれた本人も大変ですが、その周囲の大人も大変なんです。
お稚児に選ばれると費用はいくらかかる?
お稚児に選ばれるという事は、神様の役目を頂く名誉な事です。
しかし、それには莫大な資金が必要と言われています。その為か、お稚児を決めるのは立候補ではなく、長刀鉾保存会によりすべて秘密裏に進められて決定しているようです。条件もいくつかあり、
- 8~10歳くらいの男の子
- お稚児の家に座敷があるか
- 過去1年以内に家庭内で不幸は無かったか
・・・など、これらをふまえて祇園祭の役員周辺や有力な自営業者の家系から選ばれているそうです。
とは言え、やはり資金がかかるので選ばれても断るケースもあるようで、候補に挙げられる家庭は親子代々でお稚児をしていたり、兄弟でお稚児をしたり、というケースが多いようです。
一体何にかかるのか?と疑問に思いますが、結果的に約2000万以上は費用がかかるそうで、父母の羽織袴の新調や関係者の飲食・接待にハイヤーの手配、儀式ごとの子供の着物代、お祝いの品の買い揃えなどなど・・・。
思わず笑ってしまう金額ですが、お母さんの着物の新調だけで、その呉服屋は1年暮らしていける程の売上になるとか・・・。これは確かに資産家のお坊ちゃんでなければ務まらない話ですね。納得してしまいます。
禿(かむろ)役は?
お稚児さんは1人ですが、側に禿役が2人つきます。
禿はお稚児さんを補佐する少年達であり、簡単に言うと『稚児の家来』です。この役も10歳前後の男の子が選ばれますが、儀式では稚児の先導をしたり、両脇で稚児を見守ったりする事が仕事となります。
大人的な事情で言えば、禿の役目は稚児にかかる2000万の費用を助ける役目でもあるようです。稚児と禿の3家庭で負担するのですね。
まとめ
伝統とはいえ、並々ならぬ努力とお金が必要となる「祇園祭」。
資金が必要な為にお稚児さんを断る家庭が増え、さらに時代の変化と人口の減少などにより、お祭りを支える地元の人数が減ってきているのも事実だそうです。
お稚児さんが選出された際は、「お金持ちの子」という目ではなく、「お祭りを守ってくれた子(家庭)」という感謝の目で見なければいけませんね。